ロケットは燃料を持ち上げるために燃料を積む、という無駄の塊です。なら地上で電磁加速して投げてしまえばいい——それがマスドライバー構想。加速G・レールの長さ・角度・場所のレバーで、1トンの貨物が「どこまで飛ぶか」を試します。立ちはだかるのは大気の壁、Gの壁、そして「どれだけ速くても軌道に乗れない」という物理の意地悪です。
人間を乗せたいなら3G——必要なレールはおよそ1,000km。東京から福岡までリニアの加速レーンを敷く話になります。
月面マスドライバーは1970年代のオニール構想の中核で、月の資源を宇宙コロニーへ投げる輸送機関でした。大気がなく重力が1/6の月では、このページの数字どおり「ただのレール」で宇宙輸送が成立します。地球では遠心力で投げるSpinLaunch等が実験中——大気とGとの戦いは現在進行形です。
参考:G. K. O'Neill "The High Frontier" (1976)、J. ヴェルヌ『月世界旅行』(1865)